伊東秀人の目 全日本スキー技術選手権大会 5日目

 2010-03-14
2010年 全日本スキー技術選レポート(3月12日)


■準決勝
◎種目(09:00-15:00)
<小回り・不整地・ウサギ新コース>
<大回り・整地・ウスバゲレンデ>
<小回り・整地・リーゼン上部>
<総合滑降・整地・ウスバゲレンデ>

八方の朝の天気

僕が選手で八方の技術選に出場していた頃を思い出しても、こ
んなに天気が良かったことは無いくらい、今日の八方は快晴の
中での準決勝の1日となった。おかげで僕の顔も真っ黒。スキ
ーヤーに囲まれている現場ではあまり気にならないが、今日の
この顔の日焼け具合で都会に降りたら、きっと違った意味で振
り向かれてしまうかもしれない。(笑)今回、八方に技術選を
見に来られた方々には、わかってもらえると思うが、僕もあま
りの暑さに、Tシャツで滑りたいくらいの気象状況だった。(
笑×2)そんな中、準決勝4種目がおこなわれた。

午前中は、うさぎ平新コースでの小回り不整地と、ウスバゲレ
ンデでの大回りが同時進行された。従来の予定では、大回り整
地はウサギ平コース、小回り整地は国際ゲレンデということで
あったが、色々なハプニングが発生したため、大回り整地はウ
スバゲレンデへ、小回り整地はリーゼン上部という斜面変更が
おこなわれた。(大会3日目発表済)この斜面変更は、たぶん
応援の皆さんも、また急斜面が得意な選手も、そして僕も、難
易度の低い斜面に変更されたことが、残念だったと思う。しか
し、色々な状況と合わせておこなうことがスキーであれば、こ
のような変更に対応することも必要なのかもしれない。

ウサギ平新コース

ところで、今日このコメントを書くのは時期早々かもしれない
が、今回のこの47回大会の勝敗の分かれ目は、この準決勝うさ
ぎ平新コースでの「コブ」にあったと言っても良いかもしれな
い。というのは、色々な事が集約された1種目になったからだ。

まずは、「スキーのチョイス」
今回の大会から、2本のスキーだけ使用できるという規則が設
けられたが、大回り用と総合滑降のスキーは、同じスキーの対
応でどの選手も問題なく決められたわけであるが、最終的に悩
んだのは、小回り用のスキーであろうと思う。つまり、コブに
合わせてチョイスするのか?整地のカービングショートターン
的な技術に合わせてチョイスするのか?またその2つに特化す
ることなく使用できるスキーにするのか?特に女子の選手はメ
ーカーによっても、155?の割とスラローム用のスキーをチョ
イスした選手もいれば、160?などのオールラウンド用のスキ
ーを選んだ選手もいた。また男子は、長さこそ165?が主流に
なっていたものの、機能的な部分では、レース用のスキーか、
オールランド用のスキーか二手に分かれていた。勿論、本選か
らの小回り種目は、4種目で、コブは1種目しかないため、確立
から言うとスラローム用のスキーをベースにしたものをチョイ
スしやすいのだが、今日のウサギ平新コースのコブは、昨年同
様並大抵の深さのコブではなかった。

次に「滑走ライン」。
今日のコース中のコブのラインは、4本になっていた。
下から見て、一番左側は、深くてミドルピッチのライン。左か
ら2番目は、深くて大きなターン弧のライン。左から3番目は、
あまり溝は深くないが、超高速のピッチのライン。そして一番
右は、最初速いピッチから始まり、その後深いターン弧のライ
ンへと続いた。

リッチーベルガー

最後に関係していたのは、「前走者」。
これはどうゆうことかというと、今回はリッチーベルガーが何
種目かの前走を務めた。そして今日のコブ種目も前走を務めた
くれたのだが、その素晴らしい滑りには、僕も鳥肌が立ったく
らいだ。それくらい素晴らしかった滑りが、ジャッジの脳裏に
焼き付かない訳がない。それ故に、リッチーベルガーの前に滑
った選手。その後に滑った選手の得点には、なんだかの影響が
あったことも僕の目から感じた。

上記の3つのポイントが、このコブの展開へと繋がっていた。
このようなポイントを総合して、また実力と運をつかみ取った
のは丸山貴雄選手。今回の技術選ではアベレージポイントが低
い中で、281点という高得点をたたき出した。これは、「バンク
マジック」と称するコブの滑り方を世に広めながら、今度は直
線的なラインのコブの滑り方をしてきた発想と勇気がこの結果
を生んだとも言えた。

聖佳 コブ

また女子選手においては、松沢聖佳選手の上手さが光った。既
に8連覇を成し遂げている松沢聖佳選手であるが、まだまだ毎年
のように進化している。彼女の直向きなスキーへの気持ちが、
そして努力が、非常に難しいこのコブ斜面の中での彼女の滑り
に表現されていた。

準決 ウスバコース

さて、本日ウスバでおこなわれた大回り種目と総合滑降の滑り
であるが、好天の中で刻々と変化していった雪の柔らかさとス
キーの滑り(=スピード)のバランスが、1つの鍵となってい
た。東向きのウスバ斜面は、朝からの太陽の日差しに徐々に雪
が解け、表面に水が浮くような状況になっていった。その中で、
うまくターン構成をおこなっていく必要があるのだが、ターン
後半に大きなプレッシャーをかけてしまうような荷重パターン
の選手はスピードが止まってしまい、且つターンとターンのス
ムーズさにかけてしまう滑りになっていたように感じる。そし
て、このウスバ斜面では、細かな滑りよりも全体の運動の流れ
が見えがちなジャッジの位置からは、そのポイントが大きなイ
ンプレッションとなり、点数に反映していたように見えた。ス
ピードが出ないという観点では、単純にワックスなどと言う付
帯的な要素を考えがちだが、実は滑り自体にもその大きな要素
があるということを、是非皆さんにも理解して欲しいところで
ある。

準決 リーゼン上部ゲレンデ

最後に、リーゼン上部でおこなわれた小回り整地種目であるが、
これは今後の技術や技術選の方向性を考えさせられる大事な種
目となったと感じる。リーゼン上部と言うことで、中斜面とい
う設定から、また広い斜面スペースから、今日のような準決勝
種目の選手のレベルでの舵取りは「カービング要素」となって
くる。事実この種目では、まさにそのカービングでの展開とな
ったが、しかしその舵取りでも、ターンのどの局面に荷重ポイ
ントを置くかで、滑りの評価が分かれた。

特に大事と感じたのはターンの前半。ターン前半という表現を、
現在は「谷回り」と表現することが多いが、その谷回り部分で
ある。ここに重さや外力を使ってターンコントロールすること
がポイントとなっていると感じた。このようなスキーコントロ
ールは、色々なコントロールの方法の中での1つとして、それが
全てでもないが、但し今後の技術選の方向性としては、1つの
時代になるかもしれない。

秀人取材中

最高に天気の良かった第47回全日本スキー技術選手権大会の準
決勝。結果として男子は、優勝経験のある柏木選手、井山選手
を押さえて、山田選手、丸山選手という優勝経験のない2人が、
同点トップとなった。明日の2種目を控え、6?7点差は大きな
リードと言える。しかし最後の最後までわからないのが技術選。
男子は、明日の展開が非常に楽しみである。

また女子では、松沢聖佳選手が9連覇に大手をかけた状況となっ
た。2位の金子あゆみ選手は、昨年までの荒さのある滑りから進
化し、非常にスムーズな滑りとなってきたが、12点差は大きな
ビハインドである。しかし個人的には、女子の若手にも頑張っ
てもらいたいので、明日の活躍に期待したい。

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